FAKE‐LAKE
 ひとしきり泣いて落ち着いたレイは、アンジェの代わりに夕食を作ると言ってキッチンに向かった。
 レイが思い詰めたりしないか心配だったアンジェは、寝ててねというレイのお願いを無視してゆっくり居間へ下りる。
「あ、アンジェ寝てなきゃ駄目だよ」
「だってなんか起きたくなったから」
 苦しくなっても知らないよ、とレイは怒った真似をする。
 すでに料理のいいにおいが漂っていた。アンジェはソファーに座り、料理をしているレイの姿を眺める。
『青い鳥を狙う人間は沢山いる』
『自分の体に何が起きているのかわからないんだ』
 博士はレイが特別な能力を持っていると言って、訳の分からない実験を繰り返していた、と以前聞いた。
 そのとおり、レイは不思議な力を持っているのだろう。それが何かはまだ分からないけれど。
『捕まったら篭の中で飼われ悲しい最期を迎える事になる』
 医師の台詞を思い出す。
 もし、レイの力に博士が気付いたら。いや、レイが博士に捕まったら……
「アンジェ」
「わ、何?」
 考え事をしていたアンジェは、至近距離でレイに見られていることに気づかなかった。
「食事出来たよ」
「ありがとう」
 立ち上がろうとしたアンジェがよろめき、レイは支えようと手を出しかけた。触れる寸前にあのシーンが蘇り、びくっと手を引っ込める。
 それに気づいたアンジェは自分からレイにつかまった。
「美味しそう」
 料理の腕もレイに越されたかな、とアンジェが笑うと、レイは嬉しそうに微笑みかえした。
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