FAKE‐LAKE
 食事を始めて少ししたころ、レイは食べる手を止めて口を開いた。
「ねえ、アンジェ。話したい事があるんだ。いい?」
「うん。何?」
 すっ、とレイはテーブルに視線を落とす。
「さっきの……僕の体がおかしいって話」
 アンジェは黙って頷き、先を促した。
「前から何か変だと思ってたんだ。小さい頃に、時々手が痺れて何かに触ったら壊す事があって」
 レイは自分の手の平を見つめながら続ける。
「博士が“テスト”してたころは何も起きなかった。だから忘れてたんだけど、最近また手が痺れはじめた。あのコップを壊すより少し前から」
 アンジェは窓枠に置いたコップのカケラを見た。
「あれ、落としたんじゃないんだ。僕の手が触れたから壊れたんだ」
「どういう事?」
 アンジェが尋ねると、僕もよく分からないけどと言ってレイはぎゅっと手を握った。
「触れた瞬間ガラスがはじけたんだ。それに小鳥に触った時とアンジェに触れた時、青い火花みたいのが見えた」
 見えなかった? とレイは恐る恐る尋ねる。
 そういえば、胸が苦しくなる前に青白い光を見た気がする。
「だから……なんだろう、何か危険な力みたいのがあると思うんだ。物を壊したり、場合によっては……人を殺してしまったり」
 そう言ってレイは悲しげに目を伏せた。
「博士は僕をそういう“道具”にしたかったのかな……って、何となくだけどそう思うんだ」
 アンジェは思わず左腕を押さえた。博士は僕以外にも『人間兵器』を作ろうとしていたのか。
「僕……こんな体に生まれたくなかった」
 つ、と白い頬に涙が伝った。泣きすぎて腫れた目元が痛そうだ。
「僕は普通に生まれたかった。アンジェみたいな普通の色の髪や瞳になりたかった」
 “普通”。アンジェの左腕がずき、と反応する。
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