FAKE‐LAKE
「青い鳥って、お伽話のあれですか? 幸せの青い鳥」

ややあって、淡々としたアンジェの声が聞こえた。

「あいにく見た事ないです。僕は十分幸せですけど」

会えたらもっと幸せになれるんでしょうか。

アンジェは曖昧な笑顔を崩さずに尋ね返す。

「そうか、ここには来なかったか」

鞄に診察器具をしまい終えた医師は意外そうに呟いた。パタンとふたをしめる音がやけに響く。

「君はいい子だからもう会えたかなと思ったんだけど」

じゃあこれから会えるかもしれないね、と彼は続ける。

「ただ、もし青い鳥に会えたら気をつけなさい。青い鳥を狙う人間は沢山いるんだ。みんな幸せになりたいから当然といえば当然だけれど」

医師が遠回しにレイについて話しているような気がして、アンジェの手の平が汗で湿った。


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