FAKE‐LAKE
「何だったのかなぁ……」
 ぽつりとレイが呟く。絶対あの先生は何か知っているはずなんだけど。何も言わなくなったのが余計に不気味だ。
「とりあえず、こっちからあえて聞く必要はないよ。しらを切れる所まで切って、あとはレイを人目に付かずに逃がす方法を考えて」
 淡々と言うアンジェにレイは吹き出した。
「しらを切れる所まで切る……って、アンジェそんな性格悪かった?」
「大事な弟のためなら性格悪かろうが嘘つきだろうが何にでもなるよ」
 アンジェは真顔で答える。冗談なく本気でそう思っているのだ。なれと言われれば鬼にさえなるかもしれない。
「……ありがと」
 へへ、と嬉しそうに笑い、レイはアンジェの隣にちょこんと座った。
 暖炉に手をかざす。火がついて大分温かくなってきた。
「“ありがとう”っていい言葉だね」
 パチ、とまきが音をたてる。
「そういえばアンジェに教えてもらった最初の言葉がありがとうだった」
「そうだっけ?」
 うん、とレイは深く頷いて言う。
「僕の一番好きな言葉なんだ」
 響きも綺麗だよねとレイは笑う。肩からずれおちた毛布をかけ直してあげながらアンジェは優しく微笑んだ。
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