FAKE‐LAKE
「これ何? 何かの勉強?」

話を変えるためか単に興味が出たのか、レイは地図をぺらぺらと開いて尋ねた。

「ああそれ、地図だよ」

「地図?」

「そう。少しお勉強しようと思ってね」

アンジェえらーい、とレイはからかう。

偉いだろー、と冗談で返したアンジェの考えは違う所にあった。

――絶対に守る。レイを。

ふつふつと沸いているスープに目を落としたアンジェの表情に笑みはなかった。

自分たちがどこにいて博士はどこにいるのか。ここが見つかった時にどこへ逃げたらいいのか。

地図はそのための情報収集の一つだった。

――絶対に“弟”を博士には渡さない。逃げて逃げて逃げきってやる。

そう決意しつつもどこか不安を拭いきれないのは、自分の体が丈夫では無いせいか。それとも自身も追われていると薄々気付いているせいか。

レイに気づかれないように溜息をつくアンジェの左腕がまた小さく疼きはじめた。


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