FAKE‐LAKE
「……一度、会ってみたいな」

独り言めかしたレイの言葉にアンジェは振り返る。黄緑色の瞳は腕に隠されていて表情は分からない。

スープを作るために沸かしたお湯がぐらぐらと沸騰する音だけが部屋に響く。

「なんてね。へへ、冗談!」

顔を上げたレイは、黙って自分を見ているアンジェに元気な笑顔で笑いかけた。

……本音だ。アンジェは心の中で呟く。

レイがこうやって笑顔でごまかす時はたいてい本音だ。それは半年以上一緒に暮らして分かった彼の癖。

生い立ちが、そして置かれている状況がどうあれレイも普通の少年だ。誰とも接触できずに隔離された生活は寂しいのだろう。

その気持ちがわかるだけに、そしてその願いを叶えれば彼が捕まるかもしれないという事を知っているだけに、アンジェはレイの笑顔にどう反応してあげたらいいか分からなかった。


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