FAKE‐LAKE


 セティは家への道を重い足取りで歩きながら深い溜息をついた。
「……ったく、どいつもこいつも……」
 レイ、そしてアンジェ。
 自分の意志に関係なく兵器にされた少年達。
 彼らを操ろうとする博士と、処分しようとする国家警察。双方の思惑は正反対だ。しかし。
「同じ穴のなんとか、だ」
 ある一点で交差する二本の線のように、彼等は同じ一つの点で交わる。
 二人を人間ではなく、『兵器』と見ている事だ。
 セティはふと、アンジェの小さい頃を思い出した。
 いつも不安げな表情をしていて滅多に笑わなかった幼いアンジェが、教授の前でだけ見せていた明るい笑顔。
 教授の事を心から信頼し、慕っていた素直な瞳。
 リアレスクの森に隠したあの日を境に失ったその笑顔を取り戻し始めた、最近のアンジェの表情。
 彼らだって感情を持っている。愛されれば心を許したくなり、裏切られれば傷つく。
 誰しも自分の意志を、そして幸せになる権利を持っているはずだ。なのに。
『彼らは人間ではない』
 静かに怒りが込み上げてくる。
 人を人と思わない奴の方が人間じゃない。
 セティは灰色の雲に覆われたどんより重たい空を睨み付け、心の中で独語した。

 絶対に、二人を助ける。
『綺麗事』? 上等じゃないか。

 二人を救出する決意を掌にしっかりと握りしめ、セティは門をくぐった。
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