FAKE‐LAKE
「いいかい、コップが割れたのも小鳥が死んじゃったのもレイのせいじゃない。レイが少し“特殊”なのもそう」

少し間を置いて続ける。

「コップを壊したかったんじゃないだろ?小鳥を死なせたくはなかったんだろ?だったら、レイはこれっぽっちも悪くないんだよ」

アンジェの力強い言葉は、レイの体を縛り付けていた自責の念を解いた。

レイはアンジェの肩に顔を埋める。絞り出すような細い泣き声が聞こえた。

「それにね。特殊だろうと普通じゃなかろうと、レイは僕の大事な弟だよ」

大事な、弟。大事な……。

顔をあげたレイの目から涙が溢れた。

「アンジェ……僕、怖い」

自分の手の平を見ながらぽつりと呟く。

「自分が、怖い。自分の体になにが起きてるのか分からないんだ」

アンジェは優しく頷いてその小さな手を握った。

「怖いよ、アンジェ……」

アンジェにはレイの気持ちが痛いほど理解できた。博士に左腕のテストをされた時にそう感じた事を思い出す。

『自分』が怖い、と。


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