FAKE‐LAKE
 やったね、と単純に喜ぶところがニールのニールらしい所だろう。
 シアナはいつもの、人の良い兄貴の笑顔で尋ねた。
「ニール、次の休みはいつ?」
  こめかみにぐりぐりと人差し指を当ててニールは記憶を辿る。
「確かー、来週の水曜だったと思う」
 そうか、と考え込むシアナに、何かあると感じたニールはずいと身を乗り出した。
「何、何かあるの?」
 ニヤリと笑い、シアナは彼を罠に誘い込む。謎めいたその表情はニールの好奇心を刺激した。
「知りたい?」
「知りたい知りたい」
「所長がさ、過去の新聞を整理するのに一日アルバイト募集しててさ。ニールにどうかなと思って」
「え、おれ?」
「そう。前にニール古い新聞読みたいって言ってただろ? もしかしたらただで譲ってもらえるかもしれないからさ」
「やる! そのバイト! やらせて下さいっ!」
 是非是非、とニールはシアナの腕にがっちりしがみついた。
 こら離れろと額を小突かれる。
「じゃ所長に話しとくよ。明日かあさってには仕事内容詳しく伝えるから」
「いやったー! シアナ兄様、最高! ありがとう!」
 人の目を気にせずひゃっほーと叫んで、大喜びで駆けて行くニール。
 その姿が二つ先の角を曲がった時、通りすがりの男がシアナに近づいた。
「どうだ」
「計算通りだ。水曜に決行と博士に伝えてくれ」
 了解、と男は言い、何もなかったように二人はすれ違った。
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