FAKE‐LAKE

 ◇ ◇ ◇


「出来たー」
 アンジェは額の汗を拭い、肩で大きく息をした。
 二日かけて計画し、今朝早くから始めた作業がようやく完了した。天窓から射す光の位置からしてそろそろお昼だろう。
 床に空いている正方形の穴から首を出し、アンジェはレイの姿を探した。
「レーイ! 出来たよ!」
 呼ばれるのを待っていたかのように軽い足音が聞こえ、レイが階段をあがってくる。
「レイ、上、上」
 姿が見えない声の主を探して部屋をキョロキョロ見回すレイに、アンジェはとんとんと梯子を叩いて居場所を教えた。
 レイのキョトンとした表情が、屋根裏から顔を出しているアンジェを見つけた瞬間ぱっと笑顔に変わる。
「古い梯子だから気をつけて登ってきて」
 そう言って首を引っ込め、アンジェは確認するようにもう一度“部屋”を見回した。
 うん、完璧。
 満足そうに一つ頷き、アンジェはレイが上がって来るのを待った。
 ぴょこ、と穴から水色の髪が覗く。
「……わ、」
 レイは大きな目を見開いて屋根裏部屋を見回した。
 三角屋根の天井についている窓からは青空が見える。床の真ん中には柔らかい布が敷かれ、綺麗に掃除された部屋の奥にはベッドと棚が並んでいる。反対側には小さな机と椅子があり、机の上にはランプとアイビーの鉢植えが置かれていた。
「ここ、何?」
 レイはアンジェを見上げて不思議そうに尋ねる。
「レイの部屋だよ。誰か人が来たとき隠れられるように、屋根裏に造ってみたんだ」
 といっても、あまり人来ないけれどね。
 そう言ってアンジェはレイの手を掴む。
「ほら、上がって。気に入ってもらえるといいんだけど」
 ほらほらと手を引っ張られ、レイは恐る恐る屋根裏部屋に上がった。
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