FAKE‐LAKE
 同じ頃、レイはアンジェより先に起きて朝食を作っていた。
「アンジェ、ご飯だよー」
 二階に向かって叫ぶ。テーブルにカップを二つ置き、パンと果物のカゴを並べていると階段を下りてくる音がした。
「出来たよ、アンジェ」
 ゆっくりな足音が、途中で止まる。
「アンジェ?」
 不思議に思ったレイが振り返ると、アンジェは階段の踊り場でうずくまっていた。
「どうしたのアンジェ!」
 慌てて駆け寄る。胸の辺りを掴んで苦しそうに呻いていたアンジェは、レイに支えられて薄く笑った。
「はは、大丈夫、だと思ったのに……っ」
「どうしたの? 薬は?」
 ちゃんと飲んでたよねとレイが尋ねると、アンジェは首を横に振った。
「なかった、んだ」
「え?」
「袋だけ、で……薬が入ってなかった」
「そんなどうして」
 聞いても仕方ない事と思いながらレイはそう尋ねていた。
「ニールが……来るまで大丈夫だと思ったのに、やっぱり駄目だっ……」
 ぐらり、とアンジェの体がレイに寄り掛かる。
 痩せてはいるけどいつも元気そうで、本当に病気なのかなと不思議に思っていたけれどそれはアンジェが毎日薬を飲んでいたからで。
 やっぱり病気なんだ。苦しそうなアンジェの姿に、その事実を思い知らされる。
「ど、どうしたら……?」
 おろおろしながらレイが尋ねるとアンジェは弱々しく笑って答えた。
「出来たら……ソファーに……」
「分かった」
 レイはアンジェを支えて階段を下り、ソファーに横にならせた。二階から毛布を持ってきてアンジェにかけてあげる。
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