FAKE‐LAKE
◇ ◇ ◇
「まだ落ち込んでるの? レイ」
ソファーの隅にうずくまっているレイに、アンジェは笑いかけた。
「だってお気に入りだったんだもん、あのコップ」
レイは膝を抱えた腕から目だけをだして深く溜息をつく。
朝食の時、アンジェに渡されたコップを割ってしまったのだ。
綺麗な碧いガラスのコップ。アンジェの家に来た当時から、レイはそのコップを気に入って使っていた。
「仕方ないよ。あのコップ、僕が小さい頃からあったから。古くなってたんだよきっと」
アンジェが励ますように肩を叩く。
うん、と返事をしたものの、レイは再びしょんぼりと膝に顔を埋めた。よほどショックだったらしい。
湖と同じ碧色をしていたから、レイにとっては故郷を想う特別な物だったのかもしれない。
同じコップ、見つけてあげようかな。
アンジェはニールにお願いするため、色見本として大きめのカケラを取り分け窓枠に置いた。