FAKE‐LAKE
 信じて、大丈夫?
 レイは迷った。もし、悪い人だったら……。
 男性は人の良さそうな微笑みを浮かべてレイの顔を覗き込む。
 この人を信じて、いい?
 レイはアンジェの苦しそうな顔を思い出した。そうだ、早くしないとアンジェが――
 ぎゅっと拳を握って不安を抑える。
 信じよう、人を。きっと大丈夫。
「あの、兄が病気なんです。でも薬が無くて」
 レイの話を聞いて男性はおや、と目を見開いた。
「お兄さんはどんな具合なのかな」
「胸を抑えて苦しんでます。いつも飲んでいた薬が無くなって、それで」
「どれ見てあげよう」
 男性は真剣な表情で言った。レイは驚く。
「私はこの街の医者だ。ある程度の薬は準備出来る。すぐに診察してあげよう」
「えと、家は遠いんです」
「かまわないよ。病人を助けるのが医者の役目だ」
 レイは家に人を連れていく事に迷いを感じたが、一秒でも早くアンジェを楽にしてあげたい気持ちの方が強かった。
 家から鞄を持ってきた男性と一緒に早足で家に向かう。
 早く、早く。レイは急いだ。早く、アンジェに薬を。
 家につく頃には辺りはすっかり暗くなっていた。月明かりを頼りに医者がついて来ているか確認する。
「アンジェ!」
 レイは急いで坂を上った。鍵を開ける。慌てているせいか手が震えた。
「アンジェ、お医者さまが」
 扉を開けようとした時、突然後頭部に重たい衝撃を感じ視界が暗くなった。
 ぷつり、と意識が途切れる。
 気を失って入口の地面に崩れ落ちたレイの帽子を、ついて来た“医者”が乱暴に掴みとった。
 現れた水色の髪に彼は満足そうな笑みを浮かべる。
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