FAKE‐LAKE
「親方の言い付けを破ってアンジェと友達になった事は謝ります。でも」
 アルクはニールを見つめた。亡くなった友人によく似た、正義感の強い真っ直ぐな眼差し。
「でもおれ、友達が危険な目に遭ってるのに黙って見過ごすのは嫌です」
 ニールは深く頭を下げた。
「お願いします、この仕事最後まで引き受けさせてください。どうしても許してくれないなら」
 顔を上げ、しゃんと背筋をのばして続ける。
「今すぐクビにしてください」
 アルクは顔をしかめて黙っていたが、しばらくして諦めたように溜息をついた。
「……話を」
 ニールを椅子に座らせ、その横に立ったアルクは依頼人に話すよう促した。
 依頼人は鞄から薬の袋を取り出してテーブルに置いた。
「これを、今日アンジェに届けてほしいのです」
 ニールは怪訝そうな顔をする。
「この間届けましたよ? しかもあなたがほかの患者と処方間違えて取り替えろって人を寄越したじゃないですか」
「何の事です」
「何って、だから処方を間違えて」
「私が処方する薬はアンジェの薬だけですから間違いようがありません。それに私は開業医ではありませんから誰も雇ってはいませんよ」
 一瞬にしてニールの表情が青ざめる。
「てことはまさか!」
「そのまさかです」
 妙に冷静な依頼人にニールは矢継ぎ早に尋ねた。
「じゃ、アンジェは? 無事なんすか? あいつ何者だったんですか? 奴が渡した薬は何なんですか? まさかアンジェが毒殺されたなんて事は」
< 200 / 426 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop