FAKE‐LAKE
誰一人気づかなかったが、一部始終を遠くから隠れて見ていた人物がいた。

引き返していく博士達の姿に、彼――セティは唇を噛む。

「一足遅かったか……」

監視がいるためアンジェには近づけない。

今あそこに普通に入れるのはニールだけだ。アンジェの様子を知るには彼に頼むしかない。

セティは博士たちとは別方向を通り、次の手を打つため帰路を急いだ。




真夜中、アンジェは目を覚ました。

薬を飲んだ後のように体が楽になっている。痛みがひどくなってからの記憶がない。

「どうしたんだろう……?」

ゆっくり起き上がる。テーブルの上にあるランプの明かりがゆらゆら揺れていた。

その近くにある薬の袋。

「……レイ?」

しんとしている家に嫌な予感がして、アンジェは立ち上がった。

「レイ、どこにいる?」

返事は返って来ない。微かな物音すら。

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