FAKE‐LAKE
 その成果か、それともレイの学習能力が優れていたのか。二ヶ月目には字も書けるようになり、会話もスムーズに出来るようになった。
「レイってかなり頭良いよ」
 レイが書いた丸文字を添削し、アンジェはそう言って笑った。


 レイは、ニールや医師が来る日には屋根裏に篭り、物音一つさせなかった。
 レイの存在が二人にばれないように、前の日にアンジェは家の中を片付けて念入りにチェックする。
 特に医師はアンジェの部屋に上がって来るので、ばれたらどうしようと冷や冷やしながら診察を受けていた。
 幸い二人ともレイの気配に気づく事はなく、平穏無事に日々は流れた。

 季節は夏、そして秋へと向かっていく。


 風が強いある日の事だ。
 夜中、呻き声のような音が聞こえてアンジェは目を覚ました。
 最初、風の音かと思ったがすぐに違うと気づき、天井を見上げる。
「レイ?」
 頭上に向かって声をかけたが返事はない。かわりに激しく咳き込む声が聞こえた。
 どうしたんだろう。急に具合が悪くなったんだろうか。
 心配になったアンジェは起き上がり、屋根裏部屋に登って声をかけた。
「レイ」
 部屋の明かりはついておらず、真っ暗。辛うじて差し込んでいる月明かりで動く人影を判別出来た。
 ベッドの上、隅の方でレイがうずくまって咳込んでいる。
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