FAKE‐LAKE
「わかりました」

シアナは無表情で頷く。

「兵達も奴には遊ばれて手を焼いていたからな。かなり手荒な躾になるだろう。鞭打ちで済むかどうか」

「関心ありませんね。私は言われた仕事を果たすだけですから」

どこまでも冷淡なシアナの反応に、博士は一つ息を吐いた。

「お前も変わったな。以前は」

「用件は以上ですか」

鋭いシアナの声が続く博士の言葉を封じ込める。深い青色をした瞳が冷たく光った。

「失礼します」

部屋を出ていくシアナの後姿に、博士は再び溜息をついた。

「わからん奴だ」


シアナは押し入れの奥にしまい込んでいた医療道具の入った鞄を取り出した。

「……二度と見たくなかった」

ぽつりと呟く。

「仕事なんだ、仕方ないさ」

目をつぶり、自分に言い聞かせるように繰り返した。必要と思われる薬品を揃え、シアナはレイが監禁されている牢へと向かう。


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