FAKE‐LAKE
 珍しく弱音を吐くニールを草むらに座らせ、アルクは隣に座った。
 陽射しをあびてキラキラと光る水面。穏やかに流れていく水の音が傷ついた心を優しく撫でて行く。
「確かに、目に映る全てを信じていい訳じゃない」
 悪い人間もいるからね、とアルクは残念そうに言う。
「裏切られて傷つくのは自然な事だ。信じる事が怖くなるのも無理はない」
 ただ、と続けるアルクをニールは見上げた。
「ただ、信じる事で――いや、信じ続ける事で変えられるものもある」
「信じ、続ける……?」
 ニールはアルクの言葉を繰り返す。
「そう。何があっても信じ続けるんだ。時間も気力もいるけれど、そうする事でしか変えられないものもある。特に、人の心なんかはね」
 ニールは肩で大きく息をついた。
「それ、相当体力要りますね」
 そうだね、とアルクは微笑んだ。
「でも、お前になら出来ると思う」
「……どうしてですか?」
 今現在人間不信になりそうなのに。不思議そうに聞き返すニールにアルクは答えた。
「お前は父親に似ているから」
 ドクンと心臓が跳ねる。父さんに、似てるから?
「お前の父親はそういう人だった。綺麗事だとかバカだという人もいたが、最後まで信じ続けた」
 アルクは寂しそうな目で川面を見つめた。
「そして見事に相手を変えた――もちろん良い方にね。ただ、残念ながら引き換えに命を落としてしまったが」
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