FAKE‐LAKE
「ふざけるな!」
 レイは博士に向かって叫んだ。『血の繋がった父親』?
「父親だって? 笑わせるなよ、散々道具扱いしてたくせに!!」
 博士は表情を変えずに言葉を返す。
「生物学上血が繋がっているだけだ。お前を私の子だと思った事は一度も無い。あくまでお前は『実験体』だからな」
 嘘だ。嘘だ、嘘だ嘘だ!!
 レイの瞳から涙が溢れた。その目に映るのは、“湖の国”と同じ色をしたガラス張りの装置。
 建物だと思っていたのは全部機械。道路だと思っていたのはただの通路。
 錆び付いたナイフで胸をえぐられるような苦しさにレイは呻いた。
 帰りたいと思っていた故郷は博士の研究室。しかも、世界で一番憎い人間と同じ血が自分の体に流れているなんて――
 博士は震えているレイの顎を掴み、顔を上げさせた。
「口を開けろ」
 口元に瓶を近づけて博士は命令する。レイは固く口を閉じた。溢れ続ける涙がぽたぽたと博士の手を濡らす。
「開けろ」
 ぞっとするような恐ろしい表情で博士はレイを見下ろした。
「アンジェを殺すぞ」
「なっ」
「アンジェがどうなってもいいのか?」
 うろたえたレイの隙をついて口をこじ開け、博士は薬剤を流し込む。
 その冷たい液体を思わず飲み込んでしまい、レイは激しく咳込んだ。
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