FAKE‐LAKE
 博士の口から放たれた、残酷な事実という銃弾がレイの心臓を貫く。
「何をそんなに驚いている? お前は私が研究の為に作り上げた実験体だと前から言っていただろう?」
 愕然としているレイを見て博士は声を立てて笑った。
 ……ジンコウ、セイメイタイ? 私が設計?
 レイは恐る恐る周りを見回した。
 沢山の機械が通路を挟んで並んでいる。ほとんどがガラス張りで、長い間使われていないのかビニールがかけられている。
「話してもわからないだろうが、最後だから教えてやろう。お前は人工的に作られた受精卵に遺伝子操作を繰り返し、人工子宮――子宮に似た装置の中で育てた“AL”だ。あの装置で生まれた人間は今のロスタナでは『人工生命体』に分類されているからな」
 レイは博士に指差された機械を見た。見覚えのある色のガラスで作られている装置。
 僕は……人工生命体? それは、人間じゃないって事?
 じゃあ、“湖の国”は……?
 微かに震えているレイに博士は話を続ける。
「お前は暗殺用の兵器にするために作った生命体だ。先天的に体を武器に仕立てあげれば誰にも気付かれず、足も付かずに暗殺に成功出来るからな」
 レイはアンジェが言っていた言葉を思い出した。
『レイの力も僕の左腕と同じ理由なんじゃないかな』
「……ただ」
 博士は白衣のポケットから細い瓶を取り出す。
「最大の誤算は、お前が自我を持っている事だ」
 人間らしさを感じられない冷たい瞳にレイは身震いする。
「洗脳しやすい歳から兵器として教育したはずなのに、お前は“自分”で居たがった。あれだけ虐待したにも関わらず意志を曲げようとしない」
 博士は瓶の蓋を開けた。
「一応血の繋がった父親としてこんな事までしたくはないが、他に方法が無い。薬でお前の記憶を消して一から教育しなおす」
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