FAKE‐LAKE
「あーあ、しゃべっちまった」
自分より背の高いシアナを見上げ、男は小声で続ける。
「あんただから話したんだ。約束は守ってくれよな」
「ああ。恩に着る」
シアナは、何気に自分に親しみを感じているらしい褐色の肌の男に感謝した。
「おれさ、ホント言うと基地の奴ら好きじゃないんだ」
男は足元の小石を蹴った。恐らく本音なのだろう、仕事の時と口調が違う。
「なんて言うか……なんて言うか好きじゃないんだよ」
適当な語彙が見つからないのか男は同じ言葉を繰り返す。
「それは分かる気がするな」
シアナは溜息まじりに同調した。
力のある者の言うことが絶対な世界。それに反する個人の考えや意見は許されない空気。
「でも仕事だしさ。ほら、おれ頭悪いだろ? だからこんな仕事位しか出来ないし、選べる余裕なんか無いし」
家族を食べさせるためにはさ、と男は空を見上げる。悲しそうな横顔が彼の貧しい暮らしを物語っていた。
「世の中、綺麗事だけじゃ生きていけないからな」
シアナは優しく男の肩を叩く。
家族のため、生きていくためには汚れ仕事もする。突き詰めて考えるとそれが正しいとは言えないのだろうが、そうする男の気持ちはよく分かる。
「その中で、あんただけは違うと思った。だから話した」
男は意味ありげにシアナを見上げ、尋ねる。
「忘れ物って“チビ助”なんだろ?」
なかなかに勘の良い奴だ。
心の中で男を褒めながらも、シアナは表情を変えずに淡々と答える。
「さあな。何かあってお前が疑われるのは嫌だから教えない」
ある意味肯定の答えになっているシアナの言葉に、男は黙って頷いた。
やっぱりこいつは違う、と男は再確認する。おれの事まで考えてくれてる。絶対良い奴だ。
「じゃあな。家族のためにも体だけは壊すなよ」
そう言って足早に立ち去るシアナに、男は心の中で呟いた。
――どうか、無事に――
自分より背の高いシアナを見上げ、男は小声で続ける。
「あんただから話したんだ。約束は守ってくれよな」
「ああ。恩に着る」
シアナは、何気に自分に親しみを感じているらしい褐色の肌の男に感謝した。
「おれさ、ホント言うと基地の奴ら好きじゃないんだ」
男は足元の小石を蹴った。恐らく本音なのだろう、仕事の時と口調が違う。
「なんて言うか……なんて言うか好きじゃないんだよ」
適当な語彙が見つからないのか男は同じ言葉を繰り返す。
「それは分かる気がするな」
シアナは溜息まじりに同調した。
力のある者の言うことが絶対な世界。それに反する個人の考えや意見は許されない空気。
「でも仕事だしさ。ほら、おれ頭悪いだろ? だからこんな仕事位しか出来ないし、選べる余裕なんか無いし」
家族を食べさせるためにはさ、と男は空を見上げる。悲しそうな横顔が彼の貧しい暮らしを物語っていた。
「世の中、綺麗事だけじゃ生きていけないからな」
シアナは優しく男の肩を叩く。
家族のため、生きていくためには汚れ仕事もする。突き詰めて考えるとそれが正しいとは言えないのだろうが、そうする男の気持ちはよく分かる。
「その中で、あんただけは違うと思った。だから話した」
男は意味ありげにシアナを見上げ、尋ねる。
「忘れ物って“チビ助”なんだろ?」
なかなかに勘の良い奴だ。
心の中で男を褒めながらも、シアナは表情を変えずに淡々と答える。
「さあな。何かあってお前が疑われるのは嫌だから教えない」
ある意味肯定の答えになっているシアナの言葉に、男は黙って頷いた。
やっぱりこいつは違う、と男は再確認する。おれの事まで考えてくれてる。絶対良い奴だ。
「じゃあな。家族のためにも体だけは壊すなよ」
そう言って足早に立ち去るシアナに、男は心の中で呟いた。
――どうか、無事に――