FAKE‐LAKE
もちろん、とリーナは頷く。本来なら親子になっていたはずの二人だ。その料理の名前を口にせずとも何の事か通じる。

「待ってて、すぐに作るから」

急いで部屋を出かけたリーナにセティは付け加えた。

「アツキにも食べさせろよ。俺にだけ優しくするとあいついじけるからな」

「分かってるよっ」

笑顔が戻った“娘”の後ろ姿をセティは愛しそうに見つめる。成長するにつれ彼女の面影に似てきた愛娘。

リーナの足音が消えたのを確認し、セティは受話器を取った。さっきまでの優しい笑顔は消え、緊張した表情で鞄からファイルを取り出す。

「……教授、セトナです。今どこにおいでですか」

「今はソニアだ。リアレスクの隣の隣の国」

何かあったのかと問うウェッジウッド教授にセティは低い声で続けた。

「すぐにリアレスクに入ってください。大変な事が」

「どうした」

「アンジェが博士に見つかりました」

受話器の向こうで、教授は息を飲んだ。

「ロスタナの兵に見張られています。印がなかったのですぐには連れ去られませんでしたが」

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