FAKE‐LAKE
刃物のような青い瞳に見上げられ、博士は一瞬怯んだ。シアナは手の内にある間は有用な人材だが、一旦敵に回ると何をするかわからない。

博士は唸るように問う。

「……裏切るのか」

「滅相もない」

シアナは薄く笑った。その笑いは博士の神経を逆なでする。

「裏切るとは心外ですね。私は命令には忠実です。ただ、命令以外の事はしないというタチなだけですよ」

「三年前の事を忘れてはいないだろうな」

「ええ。ですが借金の分以上働かせて頂きました。法に訴えるおつもりならご自由に。博士も無傷では済まないと思いますが」

ああ言えばこう言う。博士は痺れを切らしたらしい。シアナを無理矢理連れ出すよう兵に命令した。

「明日からRの体調管理はセトナに頼む。お前はもう必要ない。今すぐ出ていけ。基地への出入りも禁止する」

レイをそっと寝かせたシアナを兵が取り押さえる。

「博士」

立ち去りかけた博士が振り返って見たのは、シアナの瞳に浮かんでいる敵意。

それとは裏腹に彼の口調は不気味なほど穏やかだった。

「お世話になりました」

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