FAKE‐LAKE
◇ ◇ ◇
「ちわーっ! 配達屋のニールですー」
ひときわ元気な声で挨拶し、左手に大きな紙袋を抱えたニールはいつものように右手でドアを引いた。
「あれ?」
いつもと違い、ガチ、と音がしただけで開かないドアに不意打ちをくらい、バランスを崩したニールの手から荷物が落ちかける。
「っと、危ない」
両手で荷物を支え、ニールはアンジェの家を見上げた。
いつもなら鍵が開いているはずなのに。不思議に思い、ニールはドアを強くノックしてみる。
「アンジェさーん? 留守ですかー?」
応答無し。
ニールは首を傾げて再度ノックした。
数秒の静寂の後、階段を転げ落ちるような音が聞こえてきた。