FAKE‐LAKE
――自分の声で目が覚めた。
夢から現実へと戻ってきたアンジェは、自分が空(くう)に手を伸ばしている事に気づき、深く息をつく。
「夢、か」
起き上がり、背伸びをした。今日は良い天気なのだろう、杏の木に止まっているスズメが楽しそうに歌っている。
色づきかけた杏の実が、夏から秋へと季節が変わり始めた事を知らせていた。
いつものようにスケッチブックを持って一階へ下りる。今日はニールが来る日だ。鍵を開けておかないと。
火をおこし、朝食を用意する。片腕のため料理を作るのに時間はかかるが、体のためにきちんとした食事をとることにしている。
簡単なスープとパン、そして紅茶。いつでも腹ぺこなニールの分もカップを準備しておく。蜂蜜の瓶を並べる事も忘れずに。
『レイ、入れすぎ』
甘すぎる紅茶を美味しそうに飲んでいた姿をふと思い出し、アンジェはくすりと笑った。
今は無い左腕を見つめ、ぽつりと呟く。
「もう、五年経ったんだ……」
庭に植えた二本並んだ杏の木が陽の光を浴びて窓にゆらゆらと影を落とす。
レイが育て始めた杏の木も、すでにアンジェの背よりはるかに大きくなっていた。
夢から現実へと戻ってきたアンジェは、自分が空(くう)に手を伸ばしている事に気づき、深く息をつく。
「夢、か」
起き上がり、背伸びをした。今日は良い天気なのだろう、杏の木に止まっているスズメが楽しそうに歌っている。
色づきかけた杏の実が、夏から秋へと季節が変わり始めた事を知らせていた。
いつものようにスケッチブックを持って一階へ下りる。今日はニールが来る日だ。鍵を開けておかないと。
火をおこし、朝食を用意する。片腕のため料理を作るのに時間はかかるが、体のためにきちんとした食事をとることにしている。
簡単なスープとパン、そして紅茶。いつでも腹ぺこなニールの分もカップを準備しておく。蜂蜜の瓶を並べる事も忘れずに。
『レイ、入れすぎ』
甘すぎる紅茶を美味しそうに飲んでいた姿をふと思い出し、アンジェはくすりと笑った。
今は無い左腕を見つめ、ぽつりと呟く。
「もう、五年経ったんだ……」
庭に植えた二本並んだ杏の木が陽の光を浴びて窓にゆらゆらと影を落とす。
レイが育て始めた杏の木も、すでにアンジェの背よりはるかに大きくなっていた。