FAKE‐LAKE
「今博士がいらっしゃるのでもう少しお待ち下さいね」
クリスは茶色のソファーにちょこんと座っている“アル・レイクス”に紅茶をすすめた。
「はい、ありがとうございます」
緊張した面持ちの“アル”にクリスは優しく笑いかける。
「緊張してるの?」
「はい」
「大丈夫よ。博士は優しい方だから」
そう言い、クリスは淋しい顔をして壁に掛かった写真を見た。
「博士は……本当は皆が知ってる冷酷な人なんかじゃないの。私が生きているのは博士のおかげだし、それにご家族をとても大切になさってたわ」
“アル”も写真を見あげた。若い博士が赤ちゃんを抱いた女の人と笑顔で写っている。
「本当は優しい方なのに……」
どうしてこんな事になってしまったのかしら。
溜息まじりに呟いたクリスは“アル”の不思議そうな顔を見て、あらごめんなさいと口に手を当てた。