FAKE‐LAKE
博士は頷いて先を促す。帽子を目深にかぶっているせいか、目の前の少年がレイである事に気がついていないようだ。

「ずっと博士に言いたいと思っていました」

ずっと?

なぜ少年がそんな前から自分の事を知っているのだろう、と博士は怪訝そうにレイを見つめる。

「今まで、言いたくても言えなかったから」

少年の声に聞き覚えがある事に気がつき、博士の表情が変わった。

「……まさか」

顔を上げたレイの射るような眼差しが、動揺している博士へと真っすぐに向けられる。

明るい黄緑色の瞳。あどけない口元。

毎夜夢の中で苦しんでいる“彼”がそこにいた。


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