FAKE‐LAKE
セティは博士の目を思い出す。

獲物を狙う獣のような目。あの先に見ていたのはレイでもアンジェでもなく、罪なき家族を殺した者たちだったのだ。

「政権が代わって軍の力が弱くなっていく間に博士はのし上がった。軍の中でかなりの力を持つほどに」

博士の命令で兵が動くくらいにな、と付け加える。

「長い時間がかかり失敗を繰り返しても、命令した奴らがいなくなって自由になれる時が来ても、博士は諦められなかった。何としても人間兵器を完成させて奴らに復讐する――そのために今まで生きてたようなものだ」

アツキは黙って聞いていた。何と言ったらいいかわからなかった。

「そして成功したのがレイ。それにアンジェだ」

セティは膝に置いた新聞を見つめて続ける。

「レイは“雷小僧”と言った所だ。遺伝子操作の手違いから電気体質になって――簡単に言えば電気鯰の人間版だ。その特殊能力をなぜコントロール出来るのかまでは分からないが」

頷きながらアツキは、F基地を脱出した時の青白い光を放つレイの姿を思い出していた。

「アンジェは片腕を銃に作り替えられた狙撃手。その気になれば石ころでも人を殺せる」

「狙撃……」

「幼い二人の時間と自由を奪ってまでも博士が遂げたかった目的……それは名誉でも金でもなく、大切な家族を奪った奴らへの復讐だったんだ」


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