FAKE‐LAKE
「わぁ、懐かしいなぁ」
屋根裏部屋に上がり、レイは嬉しそうに部屋を見回した。
自分が使っていた時と全く同じ。鉢植えのアイビーが成長している以外は。
アンジェが世話してくれていたのだろう、葉っぱがつやつやと光り、元気に育っている。
「やっと帰ってこれたんだ、僕」
ベッドに寝転んで呟く。
長かった。あの日、アンジェのためにリアレスクの街に下りた時からもう五年。
その間にいろんな事があった。目をつぶったレイのまぶたに浮かんでは消える過去の記憶。
今、僕を追う人間は誰もいない。やっと自由になれた。
そう、やっと僕は“自分”になれたんだ。
アンジェが紅茶をいれて屋根裏部屋に上がって来た。まだ目が赤い。
「蜂蜜入り?」
レイもまだ涙目だ。
「もちろん。アカシアの蜂蜜をたっぷり」