FAKE‐LAKE
セティは胸が痛かった。

レイは知っている。アンジェが生きていないかもしれない事を。

「優しい子だ。絵が上手くて植物が好きで」

「へぇ。絵描きさんかぁ」

どんな顔の人だろう、とレイは頬杖をついて想像した。やはり思い出せない。

「最後に僕を助けに来てくれた勇気ある人だったってシャナパパが言ってた。強そうな人?」

「いや。体が弱くて細い子だ。ああ、目が大きいのはお前と似てるかもな」

「ほんと?」

兄との共通点を知って、レイは嬉しそうに笑う。

「お前の事、とても大事にしてたよ」

セティはレイを助けに基地に乗り込んできたアンジェを思い出して言った。じわり、とレイの瞳が潤む。

「なんせお前を助けるために一人で基地に乗り込んできた位だからな」

あの時、アンジェは本気だった。レイが無意識に名前を呼ばなければきっと博士を撃っていた。

自分の身を顧みず博士に立ち向かうくらい、レイの事を家族として大事に思っていたのだろう。

ぽろ、と涙をこぼしたレイの頭をセティはぽん、と撫でた。

「……へへ、また泣いちゃった」

レイはごしごしと目を擦って笑った。


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