FAKE‐LAKE
アルに顔を覗きこまれてビリーは瞬きした。

「似合わない?」

不安そうに鏡を見直すアルにビリーは慌てて言う。

「いや、似合い過ぎてびっくりした」

えへへ、とアルは可愛い笑顔で笑った。

鳥みたいだ。

ビリーは心の中で呟いた。綺麗な色の羽根を持つ、人を笑顔にする不思議な小鳥。

「あ、そうだ。僕、明日この国発つんだ」

アルは帽子を被り直して報告した。

「だからおじさんに挨拶に来たんだ。ピアスが嬉しくて忘れるところだった」

ビリーは寂しそうに溜息をつく。引き止めるためにデザイナーとして雇いたいくらいだが、本人に定住の意志が無いのでそうもいかない。

「また来年、来るよ」

アルはビリーの手を握った。細かい作業を繰り返してきた硬い指先を大切そうに包む。

「またこのくらいの季節に。僕、旅芸人だからさ。毎年来るよ」

「そうか」

「だから元気でいてね。また新しいピアス作って欲しいし」


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