FAKE‐LAKE
ニールが帰った後、アンジェは古いスケッチブックを開いた。

描きかけのレイの絵。初めてレイが自分の事を話してくれた時のものだ。

陽光を浴びて輝いていた柔らかい水色の髪。透き通るような白い肌。

「この絵、最後まできちんと描きあげるかな……」

別のページには杏の絵。それを取るために木から落ちたレイが、満面の笑みを浮かべて手渡してくれた大きな杏。

描いていた時にいたずらされた事を思い出してアンジェは微笑んだ。

綺麗に切り取り、使っていなかった額に入れる。部屋に飾り、一人呟いた。

「ありがとう、レイ」

辛い時期もあったけれど、今はレイに出会えてよかったと心から思う。


ありがとう、ともう一度、アンジェは心の中で今は亡き弟に感謝した。


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