FAKE‐LAKE
「じゃ、夜また来るから。ごちそうさま、マスター!」

手を振り、笑顔で駆けていくアルをマスターは寂しそうに見送った。

「ずっとこの国に居ればいいのに……」

店先に新たな客が並び、マスターは屋台の仕事に戻った。




町外れにある、比較的大きな遊園地は平日も人で賑わっている。

アルは園内にあるガラス工芸の土産屋に向かいながら、すれ違う人々の楽しそうな笑顔を眺めた。

小さな女の子が父親に肩車してもらって可愛らしい声で笑う。手に持っている黄色の風船が風にゆらゆらと揺れた。

ふと女の子と目が合い、アルはにっこり笑って手を振る。女の子も満面の笑みを返してくれた。

「次はどれに行く?」

園内の地図を見ながら恋人に寄り添う女性。これ行ってみようかと彼に指差された場所に、彼女の微笑みがこぼれる。

「意外にロマンチストなのね」

「知らなかったんだ?」

仲良く笑い合いながら、二人はアルのそばを通り過ぎた。


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