FAKE‐LAKE
真っすぐな、どこまでも真っすぐなレイの言葉。澄んだ瞳。

自分は人間とは思えないような酷い事をしたのに。恨むくらいでは済まないほど、残酷に虐待したのに。

なのにレイは言う。

『ありがとう』

博士の目が潤んだ。後悔してもしきれない。深い自責の念に胸が張り裂けそうなほど痛んだ。

「……っ、すまない……」

博士は嗚咽しながらレイに謝った。

「すまない……レイ……」

深く頭を下げ、震えながら謝り続ける博士にレイはきっぱりと言った。

「誤解しないで」

博士は顔をあげる。

「だからってあなたを許した訳じゃない」

そう言うレイの表情は言葉と違って穏やかだった。いっそ憎まれて寝首をかかれた方がよかったと思えるほどに。

「……っ、……」

どうしたらレイから奪った時間を、与えた傷を償えるだろう。

「言っておくけど」

レイのぴんと張った声が部屋に響いた。

「今更自責の念に駆られて自殺するなんて絶対に許さないから」


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