FAKE‐LAKE

 ◇ ◇ ◇


「たっだいまぁ! あ、親方帰ってたんすか」

ニールがアンジェの配達を終えて仕事場に戻ると、配達所の所長アルク・ダレルが珍しく机に向かい、帳簿らしき物を開いていた。

「あぁ、お帰りニール。今日は『坊ちゃん』の所かい?」

『坊ちゃん』と言うのはアンジェの事だ。仕事場では、アンジェの名前も住んでいる場所も口にしてはいけない事になっている。

理由は聞かされていないが、依頼主が内密にしてほしいらしく、ニールもアンジェ本人から聞くまで名前を知らなかった。

「そうっす! 坊ちゃん元気でしたよ」

アンジェが珍しく笑った事や、寝癖がはねてた事、いつもより沢山話をした事を思い出してつい顔が緩む。

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