FAKE‐LAKE
「BからQまではもしかして」
博士は大きな溜息を一つつき、皆まで言わぬセティの問いを肯定した。
「その通りだ。BからQまでは、遺伝子操作は上手くいったものの成長しきらなかった実験体だ。死産と言えば良いのかな」
「そうですか。やはり難しい分野なのですね」
セティの言葉に博士はうむ、と頷く。
「Rは唯一成功した実験体だ。例の法律が出来て研究所が閉鎖される直前に成功した。ただ、急いだせいか計算通りには出来ていなくてな。何かはあるはずと様々なテストを繰り返したが、未だ秘めている能力が何なのか分からない」
確かにRの資料は沢山あった。読むだけで一日かかりそうだ、と無言で呟く。
続く博士の説明を聞きながら、セティは他の資料に目を通した。
「Aは遺伝子操作の研究ではないのですね」
セティの問い掛けに、博士は苦い表情で答える。
「そうだ。Aは腕に特殊な機械を埋め込んだ後天的な開発作品なんだ。上手く行っていたのだけどな」
博士の目に苛立ちが浮かぶ。
「あと少しの所で裏切られたんだ。当時の助手に」
セティは驚きを隠せない、と言う口調で言った。
「博士と研究させて頂きながら裏切るとは、何と恩知らずな」
少々大げさなセティの反応に博士は気を良くしたらしい。表情を緩ませて続けた。
「Aは奴が連れ去ったんだ。大方情が移ったんだろう。奴の行方も未だ分からない。……もう十年位経つか」
「そんなに」
「あれは一番利用価値のある作品だ。素直でこちらの言う事を聞く性格でな。今も捜索中だ」
表立って捜せないのが難点だ、と低く呟き、博士は窓の外を見る。
博士のこの『研究』の意図はどこにあるのだろう。セティは博士の視線の先を探るようにその横顔を見つめた。
それは野心か、それとも飽くなき探究心なのか。
獲物を狙う獣のような目をした博士は、独り言のように決意を口にした。
「必ず見つけ出す。奴も……アンジェも」
博士は大きな溜息を一つつき、皆まで言わぬセティの問いを肯定した。
「その通りだ。BからQまでは、遺伝子操作は上手くいったものの成長しきらなかった実験体だ。死産と言えば良いのかな」
「そうですか。やはり難しい分野なのですね」
セティの言葉に博士はうむ、と頷く。
「Rは唯一成功した実験体だ。例の法律が出来て研究所が閉鎖される直前に成功した。ただ、急いだせいか計算通りには出来ていなくてな。何かはあるはずと様々なテストを繰り返したが、未だ秘めている能力が何なのか分からない」
確かにRの資料は沢山あった。読むだけで一日かかりそうだ、と無言で呟く。
続く博士の説明を聞きながら、セティは他の資料に目を通した。
「Aは遺伝子操作の研究ではないのですね」
セティの問い掛けに、博士は苦い表情で答える。
「そうだ。Aは腕に特殊な機械を埋め込んだ後天的な開発作品なんだ。上手く行っていたのだけどな」
博士の目に苛立ちが浮かぶ。
「あと少しの所で裏切られたんだ。当時の助手に」
セティは驚きを隠せない、と言う口調で言った。
「博士と研究させて頂きながら裏切るとは、何と恩知らずな」
少々大げさなセティの反応に博士は気を良くしたらしい。表情を緩ませて続けた。
「Aは奴が連れ去ったんだ。大方情が移ったんだろう。奴の行方も未だ分からない。……もう十年位経つか」
「そんなに」
「あれは一番利用価値のある作品だ。素直でこちらの言う事を聞く性格でな。今も捜索中だ」
表立って捜せないのが難点だ、と低く呟き、博士は窓の外を見る。
博士のこの『研究』の意図はどこにあるのだろう。セティは博士の視線の先を探るようにその横顔を見つめた。
それは野心か、それとも飽くなき探究心なのか。
獲物を狙う獣のような目をした博士は、独り言のように決意を口にした。
「必ず見つけ出す。奴も……アンジェも」