FAKE‐LAKE
◇ ◇ ◇
「最近は調子が良いようだね」
月に一度の診察を終え、医師はアンジェに微笑んだ。
「……自分ではあまり分からないです」
アンジェはゆっくり体を起こしながら答える。本当に自分では違いが分からない。
「顔色も良いし……少し背も伸びたかな」
そのうち君に追い越されるかもしれない、と笑う彼はかなりの長身だ。追い越すなんてありえない、とアンジェは思う。
ああ、僕もそのうちレイに追い越されたりして。
アンジェは自分より背が高くなったレイを想像してみた。なんだか可笑しくて、思わず口元が緩む。
「薬はいつも通り配達してもらうから。きちんと欠かさず飲んでいるよね?」
医師の問いに、はい、と頷く。
シンプルな銀縁眼鏡の向こう、薄茶色の瞳がアンジェの表情一つ一つを静かに見つめていた。