FAKE‐LAKE
「優しいなぁ、ニールは」
 妹たちも幸せ者だね、とシアナは爽やかな笑顔で笑う。
 セーフ。危なかった。
 ニールはほっと胸を撫で下ろす。シアナにはばれないよう、心の中で。
「はい、これ。妹思いのニールに兄貴からのプレゼント」
 シアナは新聞紙で包装された四角い包みをニールに手渡した。
「え、おれに? シアナから? なんで?」
「ちょっと旅行行ってたんだ。これは絶対ニールが気に入ると思ってさ」
 旅行、という言葉にニールのアンテナが即座に反応する。
「え、旅行? どこどこ? 国内? 国外?」
 興味津々に聞くニールに、シアナはニヤリと笑って答えた。
「彼女と二人で愛の逃避行……ってやつ」
「……ごちそうさま!!」
 心なしか顔を赤くするニールを見て、シアナは楽しそうに声を立てて笑った。


 シアナがくれたプレゼントはガラスで出来た地球儀だった。蜜柑位の大きさの透明な地球。地図の部分が擦られて半透明になっている。
「綺麗だなぁ」
 ニールは床に寝転びながら地球儀を眺めた。指でくるくると回してみる。嬉しくてつい笑いたくなる。
「シアナって良い趣味してるよな」
 新聞紙で包装するあたりがまたシアナらしいというか。プレゼントと言っても気張らない、さりげない感じ。まぁ相手がおれだからかも知れないけれど。
「彼女と旅行……か」
 控えめに言っても、シアナは格好良い。彼女がいてもおかしくない。逆にいない方がおかしい位だ。
 背は高いし、笑顔は爽やかだし。穏やかで気配りが出来て。優しい顔立ちだけど、それなりに強そうな引き締まった体格。瑠璃に似た不思議な瞳の色が神秘的な雰囲気を感じさせる反面、気さくで近づきやすく人好きのする性格。
 何よりシアナの持っている空気が優しい。
「確かにモテるだろうな、シアナは」
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