FAKE‐LAKE
 ニールが一人でぶつぶつ言っていると、お兄ちゃん独り言多すぎとまた妹たちに笑われた。
「シアナさんはお兄ちゃんと違ってカッコイイもん、モテるに決まってるじゃない」
 おまけに余計な一言まで頂戴する。
「へいへい、どうせおれはモテませんよーだ」
 寝っころがっていじけてやる。ふててやる。拗ねてやる。
 すると、お兄ちゃんいじけてると逆に喜ばれた。なんでだ。
 少しはフォローしろよ、と内心思う。モテたい訳じゃないけどさ。
「おっと忘れてた。今日の新聞」
 ニールは地球儀を大事そうに棚に載せ、新聞を開く。
「今日は……“湖の妖精”?」
 面白そう、と読みはじめると何故か妹たちも寄ってきた。
「リアレスクの湖に伝わる伝説……だって」
 読んで読んで、とせがむ一番下の妹のためにニールは声に出して記事を読みはじめた。
『最近、古い新聞や国の歴史について扱った本ばかり読んでいます。
 その中で面白い話を見つけました。今日はそれをご紹介しますね。
 リアレスクが国になるよりずっと昔に伝わっていた、湖にまつわる伝説の話です。今では知らない人の方が多いのでしょうね。
 昔からリアレスクに住む人々は自然を大切にしてきました。おかげで湖の水は今の今まで澄んだままです。碧く輝く湖はリアレスクの宝と言えるでしょう。
 その美しい湖には妖精が住んでいる、という言い伝えがあるのだそうです。
 水色の綺麗な髪と、宝石のように澄んだ黄緑色の瞳。肌は透き通るように白く、その姿は少年のようでもあり少女のようでもある、と。
 “彼”は、自然を大切にし湖を汚さないリアレスクの人々への感謝から、この国の平和を守っていると言います。
 確かに周囲の国が争っている中でも平和だったリアレスクの歴史を考えると、あながち夢物語ではないのかもしれませんね』
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