喫茶ノムラへいらっしゃい!
喫茶ノムラを出るとき、かっちゃんがゴソゴソとカバンをあさり始めた。

きっと、財布を探してるんだろうな。

「かっちゃん、今日は私が払うよ。」

「何で?大丈夫だけど?」

「だって今日は…」

私が言葉を濁したから、かっちゃんが首をひねる。

もうっ!本当は気づいてるんじゃないの!?

チョコレート、いっぱいもらってるじゃん!

「だってほら、今日ってバレンタインじゃん?」

ちょっと投げやりに言ってみた。

「あっ、そっか。じゃあ、よろしく!」

で、いつもの笑顔でニッと笑う。

その笑顔、ズルいよ。

何もかも許してしまう。

お会計を済ませて外に出ると、私は何となく立ち止まった。

視線を足下に落とす。

「羽奈、どうした?」

かっちゃんの顔が見れない。


今だ。

今、言わなきゃ!
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