喫茶ノムラへいらっしゃい!
喫茶ノムラに着くまで、私は何も話さなかった。

と言うか、何も話せなかった。

これから自分の思いをどんな言葉で伝えるか、私の頭はそのことでいっぱいだった。

かっちゃんは私のそんな気持ちを知ってか知らずか、部活のことを話している。



喫茶ノムラに着くと、この前のウエイトレスさんが席まで案内してくれた。

「ご注文は、どうなさいますか?」

「羽奈、どれ?」

「…あっ、えーっとチョコレートパフェ、2つ。お願いします。」

「かしこまりました。」

ウエイトレスさんは、帰っていくとき、私に軽くウインクした、気がする。

私はまた、考えにふけっていて、呼ばれていることに気づかなかった。

「…奈、羽奈?」

「ん?何?」

「なんか、今日の羽奈、変。俺の話も上の空って感じ。どうかした?」

「ううん、別に。何にもないよ。」

「それならいいけど…」

かっちゃんが何か言いかけたとき、ちょうどウエイトレスさんがパフェを持ってきた。

「お待たせしました。」

「おぉ、すげぇ!」

かっちゃんの顔が嬉しそうに輝く。

目がキラキラしてる。

でしょ、とちょっと自慢げに私は言った。

まぁ、私が作ったわけじゃないんだけど。

「じゃあ、食べよっ!」

じっとパフェを眺めているかっちゃんを促して、私たちはパフェを食べ始めた。

パフェを食べている間、私たちは言葉少なだった。

たまに目が合うと、おいしいね、って言うくらい。

まぁ、私は何か話せって言われても、きっと何も話せなかっただろうけど。
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