喫茶ノムラへいらっしゃい!
部室に着くと、梨華とそのペアの麻希ちゃんがいた。

「光吏、今日、取材行くんでしょ?喫茶ノムラに。」

梨華がニヤニヤしながら言う。

最近の梨華は、私を見るといつもニヤニヤしてる。

「うん、行くよ。」

梨華のニヤニヤに、あえてサラッと返す。

「えっ、喫茶ノムラって、あのウワサの?」

麻希ちゃんも会話に加わる。

この子は本当にウワサ好きだ。

きっと、記者には向いてるんじゃないかな。

「そっ、あのウワサの喫茶ノムラに行くの。」

軽く梨華を睨む。

梨華は、私の視線から逃げるように席を立った。

「じゃあ、井上君頑張んなきゃね!」

麻希ちゃんが井上の肩を叩きながら言う。

頑張る、って何をだよ。

「任せろっ!」

井上、意味わかって言ってんの!?

そんな私たちを少し遠くから眺めている梨華が、またニヤニヤしてる。

あー、めんどくさっ!

「井上!準備終わったら、すぐ行くよ!!」

それだけ言い残して、私は部室を飛び出した。
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