君を呼ぶ声
あの時、
僕はどうしてこうなったんだろうって考えてたんだ。

暗い部屋で、
誰も来なくて。

自分の体からは、どんどん血液が流れてて、
冷たくなっていってて、

でも、不思議と痛みはなかった。


とにかく、ずっと考えてた。

隣の部屋にいるかもしれない
扉の向こうのあなたを探してた。

僕には、あなたしかいなかったから。


朦朧とする意識。
たったひとつの願いが、
僕の命をつなぎ止めていた。

それは


あなたと、話がしたかった。

どうして、僕はこうなったのか。
何が、いけなかったのか。

ちゃんと言ってほしかった。
教えてほしかった。

ダメなことは、叱ってほしかった。


だって、

僕の世界は、この窮屈な部屋だけだったんだ。

そしてそこにいるのは、僕とあなただけだった。










「お母、さ……」










たった5年で、僕はあなたに殺されました。
その意味を、僕は今も探しています。
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