1秒後の奇跡【超短編】

「いらっしゃいませー」


自動ドアが開くと、その瞬間に外の冷たい空気が店内に流れ込んだ。


その瞬間、俺の胸が少しだけ高鳴る。


そう、最近の俺の密かな楽しみ。


仕事帰りだろうか、毎日この時間になるとやって来る客。


折れそうなくらいに華奢な体。


どこか儚げで、でも気は強そうで。


ぶっちゃけ、俺の超タイプってやつ。


いつ頃からだったっけ。


彼女の買う煙草の銘柄を覚えて、それを差し出すと、微笑んでくれるようになったのは。


こんな日に一人って事は、彼氏はいないのだろうか。


そんな事を考えていると、彼女はいつものカフェオレと共に、俺のレジの前に立った。


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