時間屋
志乃は驚いたような、呆れたような顔をして、笑った。
「空雅くんって、素直に生きてるんだね」
「…馬鹿にしてるだろ」
「してないよー!羨ましいなって思っただけ」
羨ましい?
…俺が、か。
そんなこと言うやつは、過去にたった一人しかいなかった。
変なやつだ、と認識を改めてから、俺は椅子から立ち上がる。
「…空雅くん?」
「部屋の外で見張ってる。いろいろ確かめたいことあるし」
志乃は、何故だか残念そうな顔をして頷く。
「うん、そっか」
「何かあったら、呼んで」
俺は志乃の部屋を出て、ひんやりとした廊下に出る。
出入り口は…階段だけ。
他に、部屋もナシ。
敵に乗り込んでこられたら、危ない。
「さーて…どうすっか」
俺はそう呟き、扉を背に座る。
そして夜が明けるまで、ひたすら今後の計画を頭の中で考えていた。