時間屋

けど、俺のこの判断はまだまだ甘かった。


学校へ行く途中、特に変わったことはなにもなかった。


が、着いてからが問題だった。



誰かが俺たちを見て放った一言。



「志乃と空雅くんって付き合ってたんだー!!」



ちょっと待て、と言う前に、その言葉が波のように辺りに広まった。


「あー、噂広まっちゃったね」とか、志乃は呑気に隣で呟いていた。



そして、教室。


クラスが違うのが、せめてもの救いだった。



でも、俺の数少ない友達は、質問攻めにするし、喋らないやつはじろじろ見てくるし。


かなりうざったい。


俺は肯定もせず、否定もせず、適当にあしらった。



昨日一睡もしてないせいで、今日はかなり眠い。


俺は授業が始まるとすぐに、居眠り態勢に入る。



そう、この時俺は、忘れていた。



志乃が、俺の"未来"を視ていたことを。



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