時間屋
「………が」
…耳元で声がする。
「………うが!」
だ―――っ、
うるさいなぁ!
「空雅ッ!!」
ハッと気づくと、俺の目の前に、数学の先生。
…そう、数学。
「空雅、居眠りも大概にしろよ!はい、教科書P125の問題、黒板に解く!」
俺は、冷や汗を流した。
机の中を必死に漁るが、ない。
数学の教科書が、どこにも。
「…わ、忘れましたー…」
「何ィ!?たるんどるぞ空雅!…よし、後で特別に課題を出してやる。喜べ!」
「…あはははー…」
口をひきつらせ、苦笑いの俺。
かなり、信じられない。
昨日、志乃が言った通りになっている。
あっという間に、昼休みがやってきた。
俺は買ってきた焼きそばパンを頬張り、昨日のことを思い出そうとしていた。
あのあと、何て言ってたっけ?
課題出されて…
その時、スピーカーから放送のチャイムが流れた。
『3年5組、空雅。至急職員室の河合のところまで来なさい』