音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~




一向に降り止まない雪は“明日は積もるんじゃないか”と思わせるような勢いで降っている。


「明日ってどこの学校と練習試合なの?」


「南校だったかな?」


「じゃあ頑張らなきゃね」


あたしたち北校は南校とよく練習試合を組んだりしている。

練習試合の結果はどの部活も五分五分。


「体育館って北校?」


「北校だけど。

…… まお、見に来るなよ」


「行かないよ。 だってあたし、補習だもん」


「そっか、そうだったな。 練習試合が終わる頃は補習も終わっているか」


「そうだよ」


数学の教科書は学校に置いてきちゃったけど…… なんとかなるよね?


いまだに降り止むことの無い雪に包まれながら木下家を目指し、ゆっくり帰った。




< 27 / 557 >

この作品をシェア

pagetop