音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~
はぁー、もう最悪。


次の授業は数学か。
雨ばっかりで最悪だけど、数学って事でもっと最悪。



「陽太、これサンキューな」


「どうも」


いっくんだ。
よく、こんな毎日が雨続きなのに元気だね。


その元気が羨ましいよ。



「樹、まおちゃんの顔が死んでいる」


「んー…… ああ!!
大丈夫だろう、雨だからだ。 天気が良くなれば戻るから」


あたしってそんなヒドイ顔をしているの?
これでも、普通なのにな。


はぁー。



「まお、もし具合が悪かったら保健室で休んでもいいんだからな。
まおは雨の日には弱いんだから」


「はーい」


具合が悪かったら保健室で休むって……
そりゃ、今は少しだけ具合が悪い。


悪いけど…… 保健室に行ったからといって治りそうな物じゃ無いんだ。


これを治してくれるのはここしかない。







< 385 / 557 >

この作品をシェア

pagetop