音のない世界 ~もう戻らないこの瞬間~
「バイト無いの?」


「今日、明日は休み」


そっか、だから歩きでも平気なんだね。
バイトが終わる頃は外は真っ暗だから、自転車が無くては危ない。


「まおはどうしたんだ? なんだか浮かない顔している」


やっぱり、分かるかな?


いっくんに言っちゃっても平気…… だよね?


「あのね……」


金曜日に聞いた事、あたしが理央ちゃんに聞いた事など。
全部話した。


理央ちゃんとの今の関係についても……


「はぁー。
あれだけ“聞くな”って言っただろ?」


「そうだけど」


気になったんだもん。
滅多に涙を見せない理央ちゃんが泣くほどの事だよ!?


心配するなっ!って方がおかしいんだよ。


「しょーがねーな。
まおは“一応”姉ちゃんだから教えてやるよ」


『一応』って所が少し、引っ掛かるが。
今は突っ込むのは辞めておこう。





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